光る街
すれ違う歩道で
人々はパタパタと急ぎ足
通りを抜けた小さな路地で
老婆がふぅっとため息をついた
杖を持つ手はかじかんで
握る両手の指先が
痛々しく震えてた
路地の向こうには川が流れる
川の音に紛れて
老婆の歌が聞こえてきた
もういくつ寝るとお正月
お正月は誰かが訪ねてくるのだろうか
孫の顔が見られるのだろうか
川の音が大きくなり
老婆の鼻歌がきえた
路地の向こうには光りの街
若者の笑い声が聞こえる
バイクのけたたましい音と一緒に
クリスマスソングが聞こえてきた
老婆は杖をついて歩き始めた
光りの街を後にして
静かな夜に帰っていった
年の瀬に老婆の鼻歌を聴いた
今年最後の祭りの夜に
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