最近
急に小さくなってしまった母
数年前までは
私より体格も良く
背も高かった母が
いつの間にか小さくなって
歩くこともままならず
ろれつも回らずで
そんな母の手を取りながら
歩いた病院の待合室
突然心に
こみ上げてきたもの
いつもなら
軽い口喧嘩が当たり前
心配して言ってるのに
言うことを聞かないとか
強情だとか
そんな思いに塞がれて
優しくしてあげることも
できなかった
こんな風に小さくなって
簡単に倒れてしまって
不自由が当たり前になって
優しくされると涙して
弱気な虫ばかりがわいてきて
そんな母を看てる自分
いつもの気合いが抜けてしまう
元気をあげる役目なんてできなくなる
もっと大切に
もっと思いやって
色んな所に連れて行って
沢山思い出を作ってあげれば良かった
今となっては
どこにも行けなくて
何も食べられなくて
観ることさえままならない
あと一年、早く気づいてあげていれば
もっと元気でいられたかもしれない
故郷は遠くにありて想うものとは
親が元気なうちに思うこと
今の私にとって
故郷(母)は瞼に沁みて消えぬもの
命の儚さを感じる度に
それが強くなっていく
人はこうして
後悔を繰り返し
心の痛みに悶えながら
学び続けていくのだろうか
瀬能裕子