水浴びを終えたばかりの白鷺が
暗くなりつつある川面から
電柱めがけてひとっ飛び
暫しの羽の手入れに余念がない
この他愛ない風景が
ひとときの安らぎになる
我が家にいたネコたちの仕草が思い出されて
忘れかけていた温もりが
心に火をともした
我が家の団欒が思い出され
懐かしさに胸が熱くなる
ヒトも動物も
なんら変りはない
誰かが側にいて
日常を形作る
ただそれだけのことの中に
なんと優しさがあるのだろう
沢山の慰めの言葉ではなく
今ここの切なさが
心の刃を抜き取り
傷跡を塞いでくれる
忘れないでと声がして
白鷺が別れを告げた
うっすらと暮れていく空には
白くて大きな翼に似た雲があった
白鷺は羽を広げ
思い切り足を伸ばして
天高く天高く昇って行った
懐かしくて温かい
白い大きな翼のもとへと
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