2010年10月12日

白い大きな翼のもとへ

白い大きな翼のもとへ


水浴びを終えたばかりの白鷺が
暗くなりつつある川面から
電柱めがけてひとっ飛び
暫しの羽の手入れに余念がない

この他愛ない風景が
ひとときの安らぎになる

我が家にいたネコたちの仕草が思い出されて
忘れかけていた温もりが
心に火をともした

我が家の団欒が思い出され
懐かしさに胸が熱くなる

ヒトも動物も
なんら変りはない
誰かが側にいて
日常を形作る

ただそれだけのことの中に
なんと優しさがあるのだろう

沢山の慰めの言葉ではなく
今ここの切なさが
心の刃を抜き取り
傷跡を塞いでくれる

忘れないでと声がして
白鷺が別れを告げた

うっすらと暮れていく空には
白くて大きな翼に似た雲があった

白鷺は羽を広げ
思い切り足を伸ばして
天高く天高く昇って行った

懐かしくて温かい
白い大きな翼のもとへと
posted by ネロリ at 18:19| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ネロリの Cafe Poem | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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