
「影」
体に椿の匂いが残る。
僕は暗い坂道を上っていく。
人生はこれだけ?
僕はヘッドライトに照らされている。
ヘッドライトはすぐさま通り過ぎていく。
でもすぐにヘッドライトは、やってくる。
君は言う。
これだけ?
僕は言う。
僕らが歌を歌っていたのは、遠くだよ。
明日のことは何も知らず、
僕に言えることは何もなく、
ただいつもの朝がきて君に会いたい。
体に椿の匂いが残る。
僕は暗い坂道を上っていく。
人生はこれだけ?
僕はヘッドライトに照らされている。
ヘッドライトはすぐさま通り過ぎていく。
でもすぐにヘッドライトは、やってくる。
君は言う。
これだけ?
僕は言う。
僕らが歌を歌っていたのは、遠くだよ。
明日のことは何も知らず、
僕に言えることは何もなく、
ただいつもの朝がきて君に会いたい。
木村ユウさんのPoemでした。
どんな状況で作られたPoemなのか、よくわからないんですが、
ただ、少ない言葉のなかにとても深い意味があるように思えます。
タイトルは「影」、場面は、椿の匂い、暗い上り坂、ヘッドライトなど、おそらくいつもと変わらない日常の背景、そんな中で、いつも出会う彼と彼女
そんな場面を思い浮かべてみました。
人生はこれだけ?
彼女の問いかけには時間に流れがあるのに、彼の答えには静止した時を感じます。
「僕らが歌を歌っていたのは、遠くだよ。」
実際に歌っていたのか、象徴的な言葉なのかわかりませんが、二人に共通していた素敵な時間が、今はまるで影のように現実味を帯びなくなったのかもしれません。それでも、最後にたった一言、「ただいつもの朝が来て君に会いたい」。そこにたった一つの現実、大切な意味を感じます。
木村ユウさんの素敵なPoemでした。ありがとうございました。
